熱交ドリル

マテリアルバランス・ピンチテクノロジー

マテリアルバランス

物質収支(Mass balance または Material balance)とは、ある化学反応の系において、その系に投入した物質の量と系から得られた物質の量との収支をいいます。
特に化学工学では以下のような物質収支式により評価できます。
蓄積量の時間変化 = 流入量 - 流出量 + 生成量 - 消滅量
物質収支式は「原子は消滅したり、新たに生成したりしない」という質量保存則に基づいており、特定の装置またはプラント内で物質は増えも減りもしないという原則に基づいて立てる式です。
例えば、ある反応器に物質Aが5[mol]流入されたとします。この反応器から物質Aが 3 [mol]流出したとしたら、残り2[mol]の物質Aは、まだ反応器のなかにあるか(蓄積)、反応によって別の物質に変わってしまったか(消滅)、あるいはその両方、のいずれかになります。

ピンチテクノロジー

ピンチテクノロジーとは、工場等で、加熱や冷却に必要な熱量を最小化するための熱交換器ネットワークを計画する解析手法のことです。
「ピンチ」は、英語で「つまむ」という意味で、与熱側と受熱側の流体の温度と熱量の関係を図示化したとき、与熱側と受熱側が温度的に最も接近する箇所をピンチポイントと呼びます。
熱複合線図での与熱側と受熱側の流体の熱量差は最小冷却熱量と最小加熱量を表しており(「ターゲット」と呼びます)、このターゲットは理論上の熱量を示しているのではなく、ピンチポイントとして選定した最小温度差が合理的であれば実現できる熱量を示しています。これにより、ターゲットを達成する熱交換器ネットワークが必ず得られます。

ピンチテクノロジーは単一工場に留まらず、複数工場間の熱融通解析にまで拡大しています。単一工場ごとの省エネルギー化は限界に達している一方で、異業種の工場が隣接するコンビナート内では、工場によって利用する熱の温度帯が異なることから、さらなる省エネルギーも可能です。既に日本国内のコンビナートには解析が適用されており、海外のコンビナートにおける省エネルギーソリューション技術としても大きな期待が寄せられています。