Corporate Social Responsibility
日阪製作所は、現在及び将来予測される社会の状況を鑑み、当社が果たすべき社会的責任などを踏まえ、持続可能な目標となる社会の姿を想定するとともに、当社将来像(あるべき姿)を日阪100周年(2042)ビジョン・ロードマップとして策定しております。
その中において、環境問題につきましては、人口増加や新興国の経済成⻑に伴うCO2排出量の増加や水質汚染等の問題が増々悪化することが予測され、環境に関連する規制等がますます強化される可能性が高いと想定しております。一方で、直面する環境問題への対応が新たな成⻑の機会になりうることも認識しており、そのため、持続可能な社会に向けて経営課題として自主的・積極的に環境問題に取り組むことが必要であると考えております。また気候変動関連に係る情報開示は今後のステークホルダーの皆様との対話の重要なテーマになると考えております。
以下では、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース、Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に沿って気候変動に関連する重要情報を開示します。
当社は、気候変動関連事項(CO2排出量削減推進)を含むCSR-SDGsビジョンを掲げ、中期計画及び年度計画において関連性を意識した計画策定を行うとともに、適時、経営が計画の総括や進捗確認を行うことによるモニタリング環境を整備しております。
また、当社は代表取締役社⻑を委員⻑とした「サスティナビリティ委員会」を2022年4月1日付で設置するとともに、関係部門との連携のもと、気候変動を含む持続可能性に関する様々な重要事項について経営陣が議論する体制を整備しております。「サスティナビリティ委員会」は年2回以上開催され、取締役会に活動結果を報告することで、取締役会が気候変動を含む持続可能性に関する様々な重要事項の監督を適切に図られる体制を構築しております。
【推進体制】
(1) シナリオ分析の前提
シナリオ分析においては、2030年時点での当社への影響として、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)におけるRCPシナリオを参考に、温暖化を抑えた場合の2℃シナリオと最も温暖化が進んだ場合の4℃シナリオを設定しました。
(2) 気候変動に関連する主要な機会・リスクと当社の対応
分析対象はプレート式熱交換器を主力とした熱交換器事業、液体やレトルト食品の殺菌あるいは 染色を得意とするプロセスエンジニアリング事業、ボールバルブを主体としたバルブ事業の3事業とし、気候変動によるそれぞれの事業並びに財務への影響について分析を行い、機会とリスクの抽出と当社での対応について検討しました。
分類 | 社会の変化 | 事業への影響 | 財務影響 | 日阪の対応 | ||
2℃ | 4℃ | |||||
移行による影響 | 政策と法 | 炭素税の導入、GHG排出削減目標の引上げ | 【リスク】原材料/部品購入コスト、製造コストの増加 | 大 | 中 | 省エネの推進、GHG排出削減、代替材料の検討 |
船舶からのCO2排出規制 (国際海事機関(IMO)の環境規制) |
【機会】燃費基準達成のための熱交換器の置き換え需要 | 中 | 小 | 船舶用熱交換器の拡販 | ||
代替フロンから自然冷媒への転換 (モントリオール議定書のキガリ改正) |
【機会】自然冷媒対応の熱交換器の需要増加 | 中 | 小 | 自然冷媒対応の熱交換器の開発 | ||
テクノロジー | 水素インフラの普及促進 | 【機会】水素ステーション用バルブの需要増加 | 中 | 小 | 水素ステーション対応バルブの拡販 | |
市場 | 再生可能エネルギー比率の増加 | 【リスク】製品、サービスの原価上昇 | 大 | 中 | 原価低減への取り組み、省エネの推進 | |
CCS、CCUSの普及 | 【機会】CO2吸収用のアミン対応の熱交換器の需要増大 | 大 | 中 | アミン対応の熱交換器の開発 | ||
評判 | 顧客・投資家からの 気候変動対応の要求増加 |
【機会】環境配慮型製品のニーズの高まり | 中 | 小 | Low Emissionバルブの認定 | |
物理的影響 | 急性的 | 自然災害の激甚化 | 【リスク】風水害による原材料調達、工場操業等への影響 | 小 | 小 | BCP、サプライチェーンの強化 |
慢性的 | 平均気温の上昇 | 【リスク】労働環境悪化と生産性低下 | 中 | 中 | 作業環境改善、少人化、熱中症対策 | |
食料供給の不安定化 | 【機会】消費期限が長いチルド食品市場の拡大 | 中 | 大 | 長期保存ができる殺菌技術の確率 | ||
水供給の不安定化 | 【機会】節水型製品の需要増加 | 小 | 中 | 節水型液流染色機の拡販 |
その結果、いずれの事業においても炭素税導入などによる原材料コストの増加並びに再生可能エネルギー比率の増加に伴う製造コストの増加が大きなリスクになる一方で、効率良く熱交換ができるプレート式熱交換器は省エネ製品として市場に認知されており、⻑年培った技術やノウハウを活かし、気候変動に伴う市場要求に適した製品を開発することにより、活躍の場の更なる拡大が期待されます。また、当社のコア技術の
1つである食品の殺菌技術を活かすことで食品ロスの低減に貢献することができると考えております。
当社は、サスティナビリティ委員会の下にリスク管理委員会を設置し、リスク管理の実践を通じた事業の持続可能な発展を確保するとともに
社会的責任の達成に寄与することを方針として掲げております。
リスク管理委員会では、気候変動関連に係るリスクを含む事業運営上の重要なリスクを抽出し、毎年多角的な影響度によって評価するとともに、対応するリスク低減状況について定期的にモニタリングしております。
当社では、日本政府が掲げる「2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す」とする目標に呼応して、当社の温室効果ガスの削減目標を2030年において、Scope1(直接排出)およびScope2(間接排出)を2013年比で46%削減に設定し、様々な
取り組みを進めています。また、Scope3(事業者の活動に関連する他社の排出)に関しても、今後数値の把握に務めるとともに、目標設定に
向けて取り組んでまいります。
Scope1, 2のCO2排出量の推移
(注:日阪製作所単体のみ、国内外の関係会社を含まず)
省エネルギー、温室効果ガス排出削減の取り組み:
[現状の取り組み]
自家消費型太陽光パネル(鴻池事業所)
[今後の取り組み]